四の五の云わずに、とっとと映画館にお行きなさい。

そんな風に云いたくなる映画だった。
本作を未見の方は、ワシの駄文なんぞ読むのは今すぐ止めて、可及的速やかに映画館へお出掛けください。
極上の時間を保証します。


物語は至極単純で、素敵に純粋な「ボーイ ミーツ ア ガール」。
それ以上でも、それ以下でもない。
そして、本作に関する予備知識などアタマの中から締め出して、余計なコトは考えずに、ただただスクリーンに映されるシーンの全てをご覧なさい。


<以下、ネタばれ在ります>


ともあれ、久し振りに「宣伝の無神経さ」に本気で腹が立った。
無神経な宣伝のせいで、物語の前半に、丹念に、そしてとても丁寧に描かれている物語世界の「説明」が台無しにされている。
どうしてもっとエレガントな宣伝が出来ないのか。

本作を「退屈」と感じた人は、(一部のヒネクレ者wを除けば)おそらくこの「無神経な宣伝」の被害者ではなかろうか。
あんな宣伝をされた日にゃあ、台詞らしい台詞がほとんど無いなか「どのように物語世界を伝えるか」に腐心した制作スタッフの苦労が浮かばれない、ってモンだ。


本作は、ホントに素敵なFairyTale(寓話)だ。
環境破壊だの機械依存だのナンだのは、物語に多少の必然を与える彩(いろどり)に過ぎない。
こうした映画になんだかんだと「解説」を加えるのは無粋の極み。
こちら(観客)としては、次々と繰り広げられる素晴らしく美しい数々のシーンと、そしてストーリーをただただ楽しめば良い。





とか書いておきながら、1つだけ(苦笑)。

ジョン・ラセターは本気だ、と思った。
本作の全編に渡って散りばめられている「ギャグ」の類は、古典的なものばかりで新味に感じられるものはほとんど無い。
昔懐かしい「トムとジェリー」とか「バックスバニー」などなどで、古くから親しまれてきた「ギャグ」がこれでもか、と散りばめられている。
この点をして批判的な感想を抱く向きも居られるだろう。


しかし、これは「新しい古典」を創ろうとしている意図のもと、あえて選択されているのでは無かろうか、と。

本作の主人公WALL/EとEVEが発する言葉は「互いの名前」と「directive(指令)」「Earth」くらいのものだ。
あとは表情と行動のみで全てが表現されている。
台詞らしい台詞は、そのほとんどが脇役たる「人間」より発せられている。

これは「トムとジェリー」など往年の多くのカートゥーンと同じ構成。
本作でそれらに多用された古典的な「ギャグ」などを使うのは、すでに周知されているそうした「お約束」を利用して、物語を観客に判りやすくするという意図もあろうかと思う。

が、一歩、考えを進めてみると、「新たなる原点回帰」ではないか、とも思える。

元ネタとなったオリジナルのカートゥーン作品たちは、1930年代の後半あたりから大いに作られ始めた。 初期には戦争に向かう暗く苦しい時代、そして戦中、戦後と疲弊した時代に多くの作品が作られた。

その当時、(親では無い)大人も子供もそして親たちも、こぞって映画館へ出掛け、皆、大笑いして、時はちょっぴり泣いたりもして、そして家に帰った。
で、それぞれのコミュニティ、あるいはそのコミュニティを超えて、飽く事無く観てきた作品を大いに語ったのだ。 

そういった意味ではいい時代でもあり、それが故、米国で現代に至るまでも映画館からTV、ビデオ、ケーブルTVと媒体を変えつつ、繰り返し繰り返し流され続けている。

ところが実際のところ現代の米国では、そういったカートゥーンの多くが、すでに物語世界が古すぎて「子供」を惹きつけられなくなっており、また表現方法が少々過激で、いわゆる「不適切な言葉」も度々使われ、かつ動物虐待といった(意味不明な)観点からの批判も多く受けている。


現代には現代にそぐわしい、ドタバタギャグ満載でちょいとホロリとさせられる、そして「夢」に溢れた新たなカートゥーンを必要としている。 多分、ジョン・ラセターはそう思っている。 
そんな風に感じた。

そうして、そのようなカートゥーンの純粋な延長上にあるのが本作。
また本作は現代の【 わんわん物語 Lady and the Tramp 】でもある。
批判される向きは、知らぬ内にか、はたまた意図して纏っている余計な「衣」を脱ぎ捨てるか、あるいは己が感性の摩滅を思いやるが宜しくはないかな?





近年、「シュレック」などに代表される、古典に対する少々辛辣なパロディが目立つようになってきた。
それはそれで構わないんだが、個人的にはR指定をして欲しいような気もする。
皮肉やパロディは、余裕が持てるようになってからでも遅くは無い。


夢と憧れは子供の糧だ。
そうした夢と憧れが、「伝統」を受け継ぎ、素晴らしい「芸術」を育み、「アポロ」や「スペースシャトル」、「ASIMO」や【 はやぶさ 】を産み出すのだ。
そして、そのような「夢と憧れ」た記憶は、大人をも癒してくれる。






ちょいと余談だが。
EVEがWALL/Eと自己紹介するシーンで、WALL/Eに彼の「指令」を複数の言語で聞くくだりがある。
一番最初に「メイレイ(命令)?」と、そしてもう一度、2回も日本語で問いかけるのは、宮崎駿の弟子を自称して止まないジョン・ラセターの意向だろか?w



最後に。
「手をつなぐ」って、そうか、あんなに大事なことだったんだね。
いくら歳を喰っても、ワシは判ったようでいて、その実、常に何も判っていない。
反省。




















管理者にだけ表示を許可する



| HOME |

Design by mi104c.
Copyright © 2009 bassmentBaseBlog, All rights reserved.
FC2ブログ アフィリエイト